近所のお兄ちゃんだった、・・・いや、それは過去形にする必要ないか。とにかく、ついにブン太くんが私の彼氏となった。本当に夢みたいで、すごくすごく嬉しいのに・・・。な、なんと!今日は!!そのブン太くんと初デート!!!
「お姉ちゃん!この服、変じゃない?大丈夫?」
「大丈夫だって。そもそもブンブンなら、どんなだって可愛いって言ってくれるわよ。」
「そ、そうかな〜・・・?」
「うん。私も可愛いと思うから、それで行ってきなさい?ほら、もうすぐブンブンが来る時間でしょ。」
「わっ!まだ準備できてないのに〜・・・!!」
なんて、お姉ちゃんとのやり取りがありながらも、家まで迎えに来てくれたブンブンと無事出発できた私・・・。でも、慌てたのと緊張とで、すごく心臓がバクバクしていた。
「?何か、顔赤いけど・・・暑いのか?」
「うぇっ?!あ、そ、そうですね!今日も暑いですよね〜・・・!」
ブン太くんに顔を覘き込まれて、思わず後ずさる。・・・と言うか、その前に変な驚き方をしちゃった。初デートで嫌われたら最悪だ・・・なんて考えがよぎる・・・。
「だろぃ?そう言うと思って!今日は最近出来た店の、あの話題のアイスを食べに行こうと思ってるわけ。」
「本当ですか?!」
「おう。楽しみだな!」
「はい!」
でも、そんな心配は無用だったみたいで、ブン太くんは楽しそうに話してくれた。
・・・だけど、この先、これ以上慌てることになるとは・・・・・・夢にも思っていなかった。
この後、私たちは予定通り、その店へ向かい・・・。やっぱり話題になっているだけあって、少し並んだけれど、並んだ甲斐のある、美味しいアイスを堪能していた。
それはきっと、ブン太くんが選んだ物もそうなんだろうけど・・・。
「はい。食うだろぃ。」
「え、え〜っと・・・。」
「いいから、食ってみろって。」
別に、食べることが嫌なんじゃない。たしかに、美味しそうだと思う。
・・・だけど!!これ、間接キスになるじゃないですか!!
と思うのに、ブン太くんは何も気にしていないようで、嬉しそうに私の前にスプーンを差し出している。
『間接』だけじゃなく、『食べさせられる』ことにもなるんですけど・・・。
「ほら!早くしないと、溶けちまうぜ!」
そんな私の羞恥を他所に、ブン太くんは笑顔で私を急かした。
・・・・・・もう、諦めるしかないか。と思い、私は少し前に寄り、ブン太くんのスプーンからアイスを食べた。
「どうだった?」
・・・やっぱり、恥ずかしかったです。
とは言えないので、ちゃんと、味の感想を伝えた。
「はい。美味しかったです。」
「だろ!」
そう言うと、ブン太くんは満足気に、スプーンをアイスへ挿し、また1口分を作った。
・・・まさか。もう1回・・・?!なんて、焦りかけていると。ブン太くんは何も言わず、ただその1口を見つめていた。
「・・・・・・・・・。」
「どうしたんですか?」
「いやぁ・・・。これ、食ったら間接キスになるよな〜って思って。」
「なっ・・・!!」
「だから、ちゃんと味わおうって思ってただけ。」
や、やっぱり、わかってたんですね!!!って言うか、味わうって、何を?!!
1人パニック状態の私を差し置いて、ブン太くんはその1口を美味しそうに食べていた。
「・・・うん。さっきより、美味くなった気がする。・・・よし、。もう1回、食ってみ?」
「もういいです!」
そんな私に対し、ブン太くんは嬉しそうに笑っている。さらには・・・。
「んじゃあ・・・、今度はが俺に食べさせて?」
「そ、そんなこと・・・!!」
「だって、のも食ってみたいじゃん。」
「・・・じゃあ、自分で食べてくださいっ!」
そう言って、私は自分のアイスを勢いよく前に出す。ブン太くんは謝りながら、それを受け取り、美味しそうに食べていた。
・・・絶対、本気で謝ってない!!
とも思うけど、私だって本気で怒ったわけじゃないから、その後は笑顔で1日を過ごした。・・・本当、楽しかったです。
「ブン太くん、今日はありがとうございました!」
***** ***** ***** ****** *****
「――ってことがあったんだよ。もう可愛いだろぃ、俺のは!」
「・・・あぁ、そうだな。」
「全く・・・。なんで、お前はの方なわけ?そりゃ、の方がいいなんて言ったら、命は無いと思え?って話だけどよ・・・・・・・・・なぁ、お前はのどこが好きなんだ?」
「はぁ?!何の話だ??」
今まで散々のろけ話を聞かされていたのに、今度は俺がどう思ってるかだと?なんで、そうなるんだ・・・。
しかも、コイツ、さり気に恐ろしいこと言ってやがるし・・・命は無いとか・・・・・・。
「別に今更照れることは無いだろぃ?言ってみろって。」
「照れてるわけじゃねぇけど・・・。それこそ、今更言う必要はねぇだろ?」
「ほう・・・?今更確認することもなく、のことを当然愛している、と?」
「当たり前だ・・・・・・って、何言わせんだよ?!」
「だから、今更照れんなって。俺なんて、のここが好きだ!とか、ここが愛してる!とか、全然言えるぜ?」
・・・いや、違うな。結局、コイツはのろけ話がしたいだけだ・・・。
「・・・まさか、にもこういうこと言ってるんじゃねぇだろうな?」
「ん?言ってっけど?」
「あのなぁ・・・。」
思わず深い溜め息が出る・・・。大体、自分も年下の兄弟がいるじゃねぇか。そんなことを話される姉の気持ちにもなってみろよ・・・と思ったが。
「とは、いっつもの褒め合いになるんだよ。んで、収拾つかなくなって・・・。」
そういえば、も相当シスコンだったからな。・・・まぁ、仲良い姉妹でいいことだとは思うが、それとこれとは話が違うと思う・・・・・・。
「最終的にはの取り合いになんの。だから、に話すより、お前に話した方がいいわけ。」
「そうかよ・・・。」
「何だよ〜、その言い方は。選ばれたんだから、喜んどけって。」
誰が喜べるか!
こういうわけで、俺も結構苦労してんだよ・・・。そこんとこ、ちゃんもわかっといてくれたら、俺も少しは救われる・・・と思う。まぁ、ちゃんが楽しそうって話を聞けるのは、俺も嬉しいことだけどな。
「おい、ジャッカル。にテレパシー送っても許さねぇからな・・・?」
「お、おう・・・。」
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お待たせいたしました、完結です!
私の中では、前編を書く前に、この話のアイスの件が思い浮かんでいたので、結構すんなりと書けた方じゃないかと思います♪ちなみに、このアイスデート(?)で、丸井さんの男前っぷりを表現しようとしたつもりです・・・っ!(汗)
そして、予定通りジャッカルさんの登場!ジャッカルさんには、ぜひ困っていただきたく・・・(笑)。優しいが故に、苦労人なところを描けてよかったです☆ジャッカルさんには、これからも頑張っていただきたいです(笑)。
('09/08/06)